保安だより
高圧ガス容器を移動(運搬)するときは、高圧ガス保安法や規則で定められた基準を守ることが求められています。事故防止や安全確保のために、常に危険物を扱っているという意識を持ち、細心の注意を払わなければなりません。 今回は、高圧ガス容器の安全な移動(運搬)の基準について解説します。
2025年9月1日
2022年9月28日、東名高速豊田ジャンクションにてLPガス容器を運搬中の車両から容器が落下し爆発炎上する事故が発生しました。1人が死亡、2人が負傷しています。
今一度、運搬時の手順を確認し、安全な取り扱いを徹底しましょう。
※1 イエローカード(高圧ガス移動注意書)
積んでいるガスの名称、物性、特性、性状(液体、気体など)、事故発生時の応急措置、緊急連絡先などが書かれており、運転者が意識不明や死亡の場合、このイエローカードを見れば素早い対応ができます。
※2 防災資機材等
●赤旗
●赤色合図灯または懐中電灯
●メガホン
●ロープ(長さ15m以上×2本以上)
●漏えい検知剤(検知器、検知管)
●革手袋
●容器開閉ハンドル(容器に開閉ハンドルが装着されている場合を除く)
●容器バルブ
グランドスパナ(モンキースパナで代替可)
●発煙筒
●車輪止め(2個以上)
●ハンマーまたは木づち
●ペンチ、はさみ、ナイフ
▢ 消火器の期限・能力・本数は適切か ※1
▢ 容器にプロテクターやキャップは取り付けられているか
▢ 警戒標識を掲げているか ※2
▢ 車両に記載されている最大積載量を厳守しているか
(最大積載量はガス重量+容器重量)
※1 適切な消火器および能力・本数
出典:株式会社テントー標識『高圧ガス移動基準抜粋』
移動するガス量による区分 | 消火器の能力 | 個付け個数 |
---|---|---|
1000kgを超える場合 | B-10以上 | 2個以上 |
150kgを超え、 1000kg以下の場合 | B-10以上 | 1個以上 |
150kg以下の場合 | B-3以上 | 1個以上 |
※2 警戒標識について
車両の前方及び後方から見やすい位置に掲げる
横寸法は車幅の30%以上、縦寸法は横寸法の20%以上にする
走行中は法定速度や道路交通法規を守り、急発進・急停車・急ハンドルを避ける等の安全運転を心がけましょう。
高圧ガス容器は危険物との混載が原則禁止されています。ただし、法令で認められた場合に限り、例外的に混載が可能です。
以下の①~③の組み合わせがその対象となります。
荷役作業における安全確保のため、テールゲートリフターの操作や保護帽の着用義務など法令による規制が強化されています。容器の積み卸しは日常的な作業ですが、常にリスクが伴います。正しく理解し、確実に対応しましょう。
令和6年2月1日以降、トラックなど貨物自動車に設置されているテールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業は、労働安全衛生法第59条第3項に基づく「特別教育」の対象となりました。
カリキュラムによる特別教育を受けた者でなければ、テールゲートリフターを使用した荷役作業を行うことはできません。
これまで保護帽の着用義務は最大積載量5トン以上の貨物自動車が対象でしたが、新たに2トン以上5トン未満の貨物自動車も対象に追加されました。
保護帽の着用義務があるのは以下の条件に該当する場合です。
労働安全衛生規則等の改正の法令および特別教育に関する内容は「陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)」のホームページに掲載されています。
https://rikusai.or.jp/ (陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防))