「メンズ脱毛が流行っているらしいけれど、実際どうなの?」「今さら周りに聞くのは恥ずかしい」このようなお悩みはありませんか?最近は、若者だけでなく「大人の身だしなみ」として脱毛を始める男性が急増しています。 そこでこの記事では、実は気になっている方も多い(!?)メンズ脱毛について解説していきます。

2025年12月15日
ひと昔前までは、脱毛といえば女性がするもの、あるいは一部の美意識が高い若い男性がするものというイメージが強かったかもしれません。しかし、現在、その常識は大きく変わりつつあります。
今、これほどまでに男性の脱毛が一般化し、多くのビジネスマンが通い始めている理由や背景に、想像以上にシビアな「周囲の視線」があるようです。
近年では、服装や髪型と同じように、体毛のお手入れも身だしなみの一部として捉えられるようになってきました。
例えば、名刺交換の際に差し出した手元に濃い指毛が生えていたり、商談中に袖口から長い腕の毛が見え隠れしていたりすると、「気になる」と感じる方も少なくないようです。
実際に、大半の女性が「男性のムダ毛が気になったことがある」「(男性に対して)体毛をケアしてほしい」と答えている意識調査の結果もあるほどです。


脱毛を始めるきっかけとして、周りの目や将来への備えも大切ですが、それ以上に今の自分自身の生活が圧倒的に楽になるという直接的なメリットも見逃せません。
例えばヒゲ脱毛を行えば、毎朝のヒゲ剃りにかかる時間と手間から解放されます。もし毎日10分ヒゲを剃っていると仮定すると、年間で約60時間、30年間で約1,800時間も鏡の前で費やしていることになります。脱毛をすれば、この時間を節約できるのです。
また、頻繁なカミソリやシェーバーの使用による肌トラブルから解放されるのも大きな利点でしょう。カミソリ負けによる出血やヒリヒリ感、乾燥による肌荒れなども気になりづらくなります。
脱毛できる部位はこんなにある!?

そして、近年、40代から50代の男性の間で急速に関心が高まっているのが、VIO(デリケートゾーン)の脱毛です。「下半身の毛をなくすなんて恥ずかしい」「若作りをしているようで抵抗がある」と感じる方が多いかもしれません。
実は、見た目の美しさよりも、将来、自分が介護される側になったときのための準備、いわゆる介護脱毛を始める方が増えているのです。将来、年齢を重ねて介護が必要になり、オムツ交換や排泄の介助を受けることになった際、アンダーヘアが残っていると、排泄物が毛に絡まって拭き取りにくくなるなど、清拭やケアがしにくくなるケースがあります。
そこで、家族やヘルパーさんに迷惑をかけたくないという気持ちから、VIO脱毛を済ませておく方が増えています。
クリニックがミドル世代の男性に行った調査では、介護脱毛の認知度が3年前と比べて約8倍に増加したとの結果も出ています。

脱毛を行ううえで大事な考え方は、自分にとって納得できて快適であること、そして周囲に向けては「身だしなみ」としてどう見えるかを意識することです。
例えば、腕やすねに適度な毛があることは男らしさとして肯定的に捉えられる場合もありますが、手入れされずに伸び放題だったり、Yシャツの襟元からムダ毛がのぞいていたりすると、シビアな目線の人に対しては、印象を損なう原因になりかねません。
身だしなみで最も注意すべきなのは、自分では見落としがちで、他人からは意外とよく見えている「細かい部分のムダ毛」です。
具体的には、会話中に相手の視線が釘付けになってしまう鼻毛、加齢とともにいつの間にか長くなっている耳毛、そして名刺交換や書類の受け渡しなどで見られやすい指の毛などは自分では気づきにくいことが多いのではないでしょうか?

脱毛を検討する際に、「人間の体に生えているものには必ず意味があるはずだ」「無理になくしてしまって、健康に悪影響はないのか」と心配になる方もいるでしょう。
確かに、体毛は寒さから身を守る保温や、摩擦から皮膚を守る保護という重要な役割を担っています。
しかし、医学的な観点では、ヒゲや腕、脚の毛を脱毛することで健康を害したり、体温調節ができなくなったりするといった報告はほとんどありません。
むしろ、脇やVIOの毛をなくすことは、汗による蒸れや雑菌の繁殖を防ぎ、体臭やあせもなどの皮膚トラブルを軽減するという衛生的なメリットの方が大きいといわれています。

脱毛の方法は、大まかに二つに分けられます。
一つはクリニックで行う医療脱毛、もうひとつはエステなどで受けるサロン脱毛です。それぞれ、効果や仕組みなどに違いがあります。
医療脱毛は、医療用のレーザーを使用して発毛組織を破壊する医療行為であり、医師や看護師しか施術できません。
一方で、サロン脱毛は、発毛組織にダメージを与える程度のマイルドな光を当てて毛の成長を一時的に弱らせる効果があります。
施術にかかる期間は、医療脱毛で約1年~1年半、サロン脱毛で約1~2年が一般的です。なお、医療脱毛は強い出力で照射する分、サロン脱毛よりも強い痛みが出やすくなっています。
参考までに、医療脱毛で顔とVIOを含む全身脱毛をする場合の費用は約35万円、顔とVIOを含まない全身脱毛は約20万円が最近の相場です。

男性が脱毛を検討する際、最も大きな心理的ハードルとなるのが、「ツルツルになった肌を他人に見られること」への恥ずかしさではないでしょうか。
確かに、いきなり全身の毛がなくなってしまうと、自分でも見慣れずに違和感を覚えてしまうこともあるでしょう。
しかし、現代のメンズ脱毛は、必ずしもツルツルを目指すものではありません。毛量を減らして程よい薄さにする、必要な部位だけを残して形を整えるといったナチュラルな仕上がりを求める方もいます。
鼻下とあごのヒゲは残して頬や首のヒゲのみを脱毛したり、VIOに関しても下着からはみ出ない範囲で自然に毛量を整えたりなど、「やりすぎ感」を出さない程よい脱毛を行うことが後悔しない脱毛につながります。

メンズ脱毛は、今や単なるファッションや流行ではなく、ビジネスにおける身だしなみや将来の介護を見据えたリスク管理の一環として定着しつつあります。
清潔感のある肌は、相手に好印象を与えるだけでなく、自分自身の自信にもつながります。
大切なのは、周りの流行に流されることではなく、自分のライフスタイルや目的に合った方法を選ぶことです。
現在は、多くのクリニックやサロンで無料のカウンセリングや、安価なお試し体験を行っています。まずは専門家に相談し、自分にとって程よい清潔感を探す第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。


岡本 妃香里 (おかもと ひかり)氏
薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験後、ライター活動を開始。現在は医療・美容ライターとして、医薬品や化粧品、健康食品、美容医療などをはじめ、記事執筆を通じて健康と美に関する正しい情報を発信中。