2027年は、家庭のエネルギーまわりで大きな制度変更が重なる年です。エアコンの省エネ基準の引き上げと、一般照明用蛍光ランプの製造終了です。SNSなどでは「エアコン2027年問題」「蛍光灯2027年問題」と呼ばれています。ここでは、それぞれの変更内容とポイントを整理します。

2026年4月30日
省エネ・非化石転換法に基づく「トップランナー制度」により、2027年4月からエアコンの新たな省エネ基準(2027年度基準)が開始され、基準が引き上げられます。
話題に上るのが「今のエアコンは使えなくなるのか」「低価格帯の製品が買えなくなるのか」「修理はどうなるのか」といった点ですが、結論からいえば、いずれも該当しません。トップランナー制度はメーカーに対して適用されるもので、出荷する製品全体の平均値で基準達成を求める仕組みだからです。

基準を満たさない個別の製品が即座に製造・出荷禁止になるわけではなく、現在使用中のエアコンも引き続き使うことができます。修理についても、メーカーごとの部品保有期間(製造完了後おおむね10年間)内であれば基本的には従来どおり可能です。
新基準で一般消費者に最も響くのは、省エネ性能の向上がもたらす光熱費の削減効果でしょう。エアコンの省エネ性能は「通年エネルギー消費効率(APF)」という指標で表され、APFの値が大きいほど省エネ性能が高いことを意味します。

2027年度基準ではこのAPFが引き上げられ、6畳用(2.2kW機)の場合、現行の2010年度基準(APF 5.8)から2027年度基準(APF 6.6)へ向上するとされています。
資源エネルギー庁の試算によると、2027年度基準を満たした製品では、6畳用で年間約2,760円、14畳用(4.0kW機)では年間約12,600円の光熱費削減が見込まれます。内閣府「消費動向調査」によるとエアコンの平均使用年数は約14年ですので、使用期間全体で見れば、6畳用で約4万円、14畳用では約18万円ものコスト削減になる計算です。

一方で、エアコンの販売価格は省エネ性能のほか、素材価格や製造コストなどさまざまな要因で決まるため、省エネ性能の向上に伴い価格が上がる可能性もあります。提案する側も購入する側も、本体価格だけでなく省エネ性能による光熱費削減効果もあわせて検討することが重要となるでしょう。
続いて、照明の分野の変更です。蛍光灯には水銀が含まれており、人の健康や環境へのリスクが懸念されることから、水銀を規制する国際条約「水俣条約」の締約国会議で、一般照明用蛍光ランプの段階的廃止が決定されました。これを受けた国内法(水銀汚染防止法)により、一般照明用として用いられる蛍光ランプ(直管形・環形・電球形・コンパクト形など)は、2027年末までに製造と輸出入が禁止されます。
ただし、規制開始後も蛍光灯の継続使用は可能です。そのため、「すぐに照明が使えなくなる」わけではありませんが、今後、新品の蛍光ランプの入手が徐々に難しくなっていくのは確実です。蛍光灯が切れたタイミング等で、計画的にLED照明へ切り替えていくことが推奨されています。

LED照明への切り替え方法は、蛍光灯の種類に応じて異なります。電球形蛍光ランプの場合は、サイズと口金を確認のうえ、適合する電球形LEDランプを購入すればそのまま交換可能です。環形蛍光ランプの場合は、LEDシーリングライトへの器具ごとの交換が基本となります。
また、照明器具自体の寿命にも注意が必要です。使用年数が10年を超えている場合は、ランプだけでなく器具ごとLED照明に交換することが推奨されています。
こうした安全面に加え、蛍光灯と比較してコストや環境の観点でもLEDに利点があることにも目を向けておきたいところです。LEDは蛍光灯よりも電力消費が少なく、長寿命で交換の手間やコストを大幅に削減でき、CO₂排出量の削減にも貢献します。日本照明工業会の試算では、蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングライトへの交換で年間約2,000円の節約効果があるとされています。

こうした制度変更を前に、エアコン・照明いずれも、制度変更の期限が近づくにつれて駆け込み需要の発生が見込まれています。需要が集中すれば、希望する機種の品薄、工事の日程調整の長期化、原材料高騰も重なっての価格上昇といった状況が想定されます。
国(資源エネルギー庁)は「制度変更に備えて今すぐ買い替える必要はない」と呼びかけていますが、実際、エアコンについてはすでに、現行基準対応の最新モデルや格安モデルの中には、最大数か月待ちの商品もあるといわれています。今後、暑さが増すにつれてこの傾向はさらに強まる見通しです。余裕をもった早めの検討が得策といえるでしょう。

LPガス販売事業者は、ガスの供給だけでなく、地域のお客様の暮らしを支えるインフラを担う役割として、住まいの困りごと全般に日々向き合ってきた存在です。
この「2027年問題」は、すでに報道でも話題になっていることから、まずは事業者側が制度の変更内容を正しく理解し、不安や疑問を感じているお客様に的確な情報を届ける。そして、必要があれば、機器の選定から取付工事までワンストップで対応する――。こうしたお客様との接点一つひとつを大切に積み重ねていくことが、「暮らしのことなら何でも相談できる存在」としての信頼をさらに確かなものにしていくのではないでしょうか。