汗のにおいが気になると、周囲への影響が心配になって、仕事や私生活に集中できなくなったり、大事な場面で相手に不快感を覚えさせてしまったりする可能性が…。ここでは汗や体臭のメカニズムをはじめ、日頃から実践できる効果的なにおい対策や、便利なアイテムの選び方、さらに、ビジネスシーンで役立つクイックケアもご紹介します。

2026年6月30日
毎日の入浴や洗濯を丁寧にしているつもりでも、なぜか汗のにおいが消えなくて悩んでいる方は実は少なくないようです。体から発生する不快なにおいを防ぐためには、まずその種類と原因を正しく知ることが大切です。
においの種類によって発生する部位や原因となる成分が異なるため、それぞれに合わせたケアをしなければなりません。ここでは、代表的な3つのにおいについて仕組みを分かりやすく解説します。
・加齢臭
加齢臭は、主に35歳以降の男性で見られる古い油や枯れ草のような独特のにおいです。このにおいは、皮脂に含まれる成分が酸化して生まれる「2-ノネナール」という物質が原因で発生します。
年齢とともに皮脂を酸化させる活性酸素が増加するため、加齢臭も発生しやすくなります。主な発生源は、皮脂の分泌が盛んな頭皮や耳の裏、首の後ろ、胸元や背中です。

・汗臭
汗臭は年齢を問わず、汗をかいたあとに時間の経過とともに発生するすっぱいにおいです。男性も女性も、汗のにおいを気にするという方は80%以上と非常に多くいます。
汗を出す汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類が存在します。全身にあるエクリン腺から出る汗はほとんど無臭ですが、皮膚の常在菌が古い角質を分解することで、特有のすっぱいにおいに変わります。
もう一方のアポクリン腺は脇などに多く、脂質やタンパク質を含んでいるため、より強いにおいを放ちやすいのが特徴です。

出典:株式会社資生堂「『汗のニオイ』に関する調査(プレスリリース)」
・足臭
足臭は、靴を脱いだときなどに広がる、納豆や古くなったチーズのようなにおいです。この不快なにおいをもたらす原因物質として、皮膚の常在菌が足の裏の角質や汗を分解して作り出す「イソ吉草酸」が知られています。
足の裏は体の中でも特に汗腺が多く、1日にコップ1杯もの汗をかくといわれています。さらに、靴や靴下を長時間履き続けることで高温多湿な環境になり、においの原因菌が爆発的に増えてしまうのです。

体から発生する不快なにおいを防ぐには、毎日の生活習慣を見直してケアを続けることが効果的です。においの原因となる菌は、湿気や汚れがある場所を好んで急激に増殖していきます。
ここでは、今日からすぐに実践できる具体的な3つの対策方法について分かりやすく紹介します。
・入浴して清潔にする
日頃のにおい対策として基本となるのが、入浴です。シャワーを浴びるだけでもある程度の対策はできますが、できれば湯船にしっかり浸かりましょう。体を温めて毛穴を開き、溜まった皮脂や古い角質を洗い流すことが重要です。
殺菌効果や消臭効果のあるボディソープをよく泡立てて、においが出やすい脇や耳の裏、足の裏などを丁寧に洗ってください。洗った後はしっかり水気を拭き取り乾燥させましょう。

・衣類の雑菌残りを防ぐ
汗のにおいを長引かせないためには、肌に直接触れる衣類に雑菌を残さないようにする必要があります。洗濯をしたはずの服からにおいがする場合は、繊維の奥に雑菌や皮脂汚れが残っている証拠です。
着用した後の衣類は放置せず、できるだけ早く洗濯してください。部屋干しする際は、扇風機や乾燥機を使って短時間で一気に乾かすと、生乾き特有の嫌なにおいを防げます。落ちにくい頑固なにおいには、酸素系の漂白剤を使った漬け置き洗いや、40~50℃のお湯を使った洗濯が効果的です。

・同じ靴を毎日履き続けない
足のにおいを予防するためには、同じ靴を毎日連続して履き続けないようにしましょう。足の裏は1日でコップ1杯(約200ml)分もの汗をかくため、1日履いた靴の内部は想像以上に湿気が溜まっています。
お気に入りの靴であっても、一度履いたら風通しの良い場所でしっかりと湿気を飛ばしてください。市販の消臭スプレーを使用したり、乾燥剤を靴の中に入れて保管したりするのもおすすめです。

不快な汗のにおいを素早く抑えるためにも、市販の制汗剤やボディシートを上手に活用しましょう。ここでは、ドラッグストアで選ぶ際の基準や、それぞれのアイテムが持つ効果を最大限に引き出す使い方について解説します。汗を抑えたいのか、それともにおいを軽減したいのか、目的を明確にすることがポイントです。

・目的や肌質に合わせたアイテムの選び方
汗の量そのものを減らしたいときには、塩化アルミニウムが配合された制汗剤がベストです。塩化アルミニウムは汗腺に蓋をして、物理的に汗の量を減らしてくれます。ただし、塩化アルミニウム配合の制汗剤は高い制汗効果が期待できる一方で、肌質によって刺激を感じる場合があるため、肌の状態を見ながら使用するようにしましょう。
すでに発生してしまったにおいやベタつきが気になるときは、ボディシートが便利です。

・効果を最大限に引き出す使い方
肌が汗や皮脂で汚れた状態で制汗剤を上から重ねてしまうと、成分が十分に密着せず、においと香料が混ざって余計に不快なにおいへと変化しかねません。
そのため、まずはボディシートを使って汗や皮脂の雑菌を優しく拭き取り、肌が乾いた後に制汗剤を使用してください。
特にロールオンやクリームなどの直塗りタイプは、朝のお出かけ前など、汗をかく前の清潔な肌に仕込んでおくことで、日中のにおい発生を抑える効果がより高くなります。

・ボディシート・制汗剤でスピードケア
外回り中や客先への訪問前など、わずかな時間で汗のにおいをリセットするには、ボディシートと制汗剤を組み合わせたスピードケアが有効です。
まずは、最初にハンカチで大まかな汗を吸い取り、消臭効果のあるボディシートを使って肌を拭き上げます。その後、においが発生しやすい脇や首の裏などに無香料の制汗剤を使用しましょう。
強い香りが残るタイプはビジネスの場にふさわしくない場合があるため、周囲を気遣うためにも無香性タイプを常備しておくのがおすすめです。

岡本 妃香里 (おかもと ひかり)氏
薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験後、ライター活動を開始。現在は医療・美容ライターとして、医薬品や化粧品、健康食品、美容医療などをはじめ、記事執筆を通じて健康と美に関する正しい情報を発信中。