保安だより
近年、他工事事故が増加傾向にあり、2023年には58件発生しました。経済産業省は各関係機関に対し、事故防止対策の普及・啓発のため協力要請文書を発出しました。本号では、改めて他工事事故防止対策のポイントを解説します。
2024年7月30日
経済産業省ホームページにて、2023年事故集計(速報)が掲載されました。原因者別事故件数を見ると、「他工事事業者起因事故」が58件発生し、2016年以降、増加傾向が続いています。
事故の原因者種別 | 事故件数 |
---|---|
消費者起因事故 | 56件 |
消費者及びガス事業者起因事故 | 7件 |
ガス事業者起因事故 | 44件 |
他⼯事業者起因事故 | 58件 |
その他の事業者起因(他⼯事を除く) | 5件 |
⾃然災害(雪害) | 4件 |
その他・不明 | 18件 |
①空き家において、解体工事業者が作業中に敷地内に残存していた埋設供給管を重機で損傷し、漏えいが発生した。
②一般住宅において、他工事業者が下水道改修工事中に誤って埋設配管をコンクリートカッターで切断し、漏えいが発生した。
工事の連絡がないこと、工事事業者がガス管を認識していないこと等が主な要因で、周知・啓発活動の強化が求められています。
2024年3月7日、経済産業省から関係省庁、業界団体に対して、「建設工事等におけるガス管損傷事故の防止について」の協力要請文書が発出されました。
特に建設工事事業者等に対して国土交通省及び厚生労働省を通じて、
①ガス事業者へガス管有無の事前照会をするとともに必要に応じて立ち会いを求めること
②ガス管が埋設されている付近では火気や電動工具の使用を避けて特に慎重に手掘り等で作業すること
③ガス臭い場合にはガス事業者へ速やかに連絡すること
等が要請されました。
また、さらなる他工事事故防止対策について検討し、委託事業報告書がまとめられました。今年(2024年)度に事故防止対策関連通達等の改正に着手する予定とされています。
項目 | 委託事業報告書の内容 |
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契約終了後の速やかな撤去 | バルク供給による場合については、撤去せずに放置した際の災害等の発生リスクに鑑み、できうる限り撤去することが望ましいため、留意することとして、通達の改正案を取りまとめた。 |
一般消費者等への周知 | 掘削工事等があるときは、液化石油ガス販売事業者へあらかじめ連絡することとして、通達の改正案を取りまとめた。 |
埋設管の表示 | 供給管(貯蔵能力が三百キログラム以上の貯蔵設備に係るものに限る)を地盤面下に埋設する場合は、埋設部近傍に液化石油ガス又はLPガスと明瞭に表示することとして、液化石油ガス法施行規則の改正案を取りまとめた。 |
経済産業省ホームページでは、ダウンロード可能な周知用の文書やチラシが掲載されています。適宜活用しながら、使用者に確実な周知を実施しましょう。
◎周知用チラシ
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2022/03/20220304-01-05.pdf
◎建設工事等におけるガス管損傷事故の防止について(METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2022/03/20220304-01.html