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保安だより

液化石油ガス安全高度化計画2030の達成に向けて

液化石油ガス安全高度化計画とは、2030年の死亡事故ゼロを目標に2021年から始まった10ヵ年計画です。2030年に向けた事故件数の目標である安全高度化指標やアクションプランが定められています。 今回は2024年までを振り返り、安全高度化計画の達成状況と達成に向けた対策について紹介します。

安全高度化指標の達成状況について

液化石油ガス安全高度化指標とは、2030年時点の事故件数目標のことです。 
2023年・2024年の達成状況を見ると、死亡事故は発生していないものの、未達成項目は増加傾向にあることがわかります。特に、業務用施設での傷害事故が2年連続して高い数値で目標未達成となっています。 

安全高度化指標の達成状況(2023年) 

安全高度化指標の達成状況(2024年) 

出典:経済産業省 産業保安・安全グループガス安全室「『液化石油ガス安全高度化計画2030』の取組状況について」 
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/ekika_sekiyu/pdf/019_01_01.pdf

LPガス事業者のアクションプランについて

全国LPガス協会では、国の高度化計画目標・アクションプランを実行するため、LPガス事業者の取組内容として「LPガス安心サポート推進運動」を行っています。2025年は、販売事業者起因事故対策として「他工事関連周知等の実施」を重点的に推進するとしています。 

「LPガス安心サポート推進運動」について ~推進項目別の主な活動例と重点推進項目~ 

出典:一般社団法人 全国LPガス協会「『液化石油ガス安全高度化計画2030』の取組状況について(LPガス事業者)」 
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/ekika_sekiyu/pdf/019_01_02.pdf

指標達成に向けた事故対策

CO中毒事故 

令和元年から令和4年までの4年間においてCO中毒事故は発生していませんでしたが、令和5年・令和6年ともに5件発生しています。特に業務用厨房施設で発生しているため、10月には経済産業省より食品工場及び業務用厨房施設でのCO中毒事故防止対応の要請文書が発信されました。
また、業務用施設における換気警報器の設置もCO中毒事故対策として有効です。ガス機器利用時の給排気の徹底ならびに業務用換気警報器の設置について理解を求めることが重要です。 

ガス漏洩事故対策 

業務用施設において安全装置の組み込まれていない業務用燃焼器があるため、ガス漏れ発生時に自動的にガスを遮断する、ガス警報器とガスメーターの連動システムの普及促進についても取り組んでいます。2024年のメーター連動率は74.2%となっており、引き続き連動推進に取り組む必要があります。 
CO中毒事故は以下の記事にも掲載しています。 

https://www.dnext-enexhl.com/trending-topics/2024/07/01/2913/

他工事事故対策 

他工事事故は近年最も多い事故原因となっており、2月には経済産業省より関係省庁に対し、建設工事等におけるガス管損傷事故の防止について協力要請文書が発信されています。埋設管がある場所には埋設管表示の設置を行い、工事を行う際は土地所有者にガス事業者へ連絡をいただくよう周知を行いましょう。 

出典:経済産業省 産業保安・安全グループガス安全室「建設工事等におけるガス管損傷事故の防止について(協力依頼)」 
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2025/03/20250303_kourousyou_takoujijiko.pdf