業界情報

液化石油ガス小委員会
LPガス制度見直しへ
人手不足や技術進展踏まえ運用改善

LPガスを巡る制度や運用について、3月10日に開催された産業構造審議会 保安・消費生活用製品安全分科会 液化石油ガス小委員会において報告されました。保安機器の高度化やデジタル技術の普及、さらに過疎地域での人手不足といった課題を背景に、定期消費設備調査の合理化、保安情報のデジタル周知、業務主任者代理者の兼務の扱いなど、複数分野で制度改正や運用改善の検討が進められています。

定期消費設備調査の見直し議論

まず、課題の一つとなっているのが、LPガスの定期消費設備調査の在り方です。現行の液石法では、LPガス販売事業者は消費配管やLPガス機器、給排気設備などの安全確認を目的とする定期消費設備調査を、原則として4年に一回以上実施することが義務付けられており、調査には配管の漏えい試験や機器の安全確認に加え、燃焼機器の入口圧力測定なども含まれています。
これに対し、都市ガスを対象とするガス事業法では、同様の調査項目の一部が法令上の義務として規定されていません。都市ガスでは供給側で導管圧力の常時監視が行われており、導管の気密性も技術基準で確保されているため、家庭内での入口圧力測定の必要性が相対的に低いとされているためです。

LPガスの場合は、容器配送方式という供給形態の特性から供給側での一元的監視が難しく、これまで定期調査の中で圧力測定を行ってきました。しかし近年は保安機器の高機能化が進み、状況は変わりつつあります。マイコンメーターの普及に加え、LPWAを活用した遠隔監視技術や集中監視システムの導入が進み、設備異常を遠隔で把握できる体制が整いつつあるからです。
こうした技術進展を踏まえ、予防保安の水準を維持しながら、調査項目の一部について合理化の余地があるのではないかとの指摘が上がっています。特に燃焼機器の入口圧力測定等の調査項目の見直しを検討することとしました。

QRコード活用で保安情報周知

保安情報の周知方法についても、デジタル化への対応について検討されることになりました。液石法では、LPガス事業者が消費者に対して安全なガス使用方法などの保安情報を周知することが義務付けられています。従来は紙媒体による配布が基本でしたが、消費者の承諾を得た場合には電子メールやウェブサイトなど電磁的方法による周知も認められています。

こうした中、新たな運用として二次元バーコード(QRコード)の活用について検討されています。QRコード方式は中小事業者でも導入しやすく、周知の実効性を高める点で制度目的(安全確保)に適合しており、LPガス事業者が自社HPに周知文書を掲載し、QRコードを請求書、検針票等に記載する方式を、現行の「HPによる周知」と同等の電磁的方法として認めることは合理的であると判断されました。スマートフォンの普及により導入しやすく、周知の効率化が期待されています。
一方、QRコードのみでは消費者がLPガス保安情報へのリンクであることを認識できない可能性も指摘されています。そのため、「LPガス保安情報はこちら」といった、消費者が誤認なく周知内容に到達できるよう配慮することが必要とされています。

代理者兼務の検討で人手不足に対応

また、LPガス販売事業者の人手不足への対応として検討しているのが、業務主任者の代理者の兼務についてです。液石法では販売所ごとに「業務主任者」と「業務主任者の代理者」を選任することが義務付けられています。業務主任者については一定条件の下で複数販売所の兼務が認められていますが、代理者については法令上の兼務規定がなく、従来は販売所ごとに配置する必要があると解釈されています。

しかし人口減少が進む地方では、各販売所に代理者を配置することが難しいケースが増えています。このため、業務主任者と同等の条件を満たす場合には兼務を可能としつつ、代行可能な範囲で、業務主任者よりも緩やかな条件による兼務を認める方向で検討することとしました。
このほか、同小委員会では、液化石油ガス設備士免状等のプラスチックカード化、能登半島地震を踏まえたLPガス災害対策マニュアルの改訂についても報告されています。
LPガス制度は、長年にわたり保安確保を最優先に構築されてきましたが、技術革新や社会環境の変化に伴い運用面での見直しが求められています。デジタル技術の活用や人材不足への対応を通じ、保安水準を維持しながら効率的な制度運用を実現できるかが焦点となるでしょう。