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アパートの配送対応徹底分析
近年、宅配便の受け取り方法として「置き配」を利用する人が増えてきました。「置き配」は便利な反面、盗難やトラブルのリスクもあるため、賃貸物件での利用には十分な注意が必要です。また、対応策として有効な宅配ボックスの設置を考えているオーナーも多いと思いますが、どんな製品があるのでしょうか? 今回はアパートの配送対応について見ていきましょう。

2026年6月1日


2025年6月、国土交通省は宅配ボックスや玄関前に荷物を届ける「置き配」を宅配便の標準サービスとすることを法制化する方向で検討を始めたと発表しました。
ここ10年ほどで荷量が約1.4倍の50億個にまで増えた宅配便配送。深刻化するドライバー不足の中でも、負担軽減策を打ち出し、2025年4月現在約8.4%まで再配達率は下がってきました。これを国の目標指数である6%に下げるため、さらに「置き配」を推進していく方向で国が動き出したということです。ヤマト運輸や佐川急便は、現在も盗難や誤配等のリスクを考慮して対面手渡しを標準としていますが、今後は「置き配」を標準とし、手渡しの場合は追加料金が発生するというような「標準宅配便運送約款」の見直しも検討されているということです。

「置き配」とは宅配便などの荷物を配達員が直接手渡しするのではなく、事前に指定した場所(玄関前、宅配ボックス、ガスメーターボックス、自転車カゴ、ガレージ、倉庫など)に置いて配達を完了するサービスのことです。2020年3月、ECサイト Amazonが配達方法の一つとして初期設定したことから認知が進むようになりました。言わずもがな、不在時でも荷物を受け取れるため、再配達の手間を省き、配達員の負担を軽減できるというメリットがあります。ただし、オートロックのマンションなどは、在宅中であればオートロックを解錠することで「置き配」は可能ですが、不在時は「置き配」では配達できないということになっています。高額商品、医療品、クール便など「置き配」できないものもあります。
また、宅配便を自宅以外の指定場所で受け取れるサービスも拡充してきました。Amazonを例にとると、Amazon ロッカー、Amazon カウンター、ローソン、ファミリーマート、ミニストップ、ヤマト運輸営業所、PUDO(Packcity Japanが運営するオープン型宅配便ロッカー)で荷物が受け取れるサービスを展開しています。
このように「置き配」の推進、サービスの拡充が進む一方で、不在時に荷物が受け取れる宅配ボックスの設置を望む声が賃貸住宅の入居希望者の間でも急激に高まっています。
2024年10月「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」 TOP10(全国賃貸住宅新聞)において、宅配ボックスは単身者向けでは前回2023年調査の4位から大幅ランクアップの2位に。ファミリー向けでも、前回5位からアップの4位となっています。盗難やセキュリティ面での不安が多い「置き配」の認知が進むにつれ、その有効な解決策となる宅配ボックスがある物件に住みたいと考えるのは必然ともいえるでしょう。
「置き配」は便利な一方で、盗難やトラブルのリスクもあるため、賃貸物件での利用には十分な注意が必要です。まずは「置き配」のメリット、デメリットについて、確認してみましょう。
「置き配」やさまざまな配送サービスが拡充されているとはいえ、安心して荷物を受け取ることができる宅配ボックスは入居率アップ、空室状況の改善といった効果が大いに期待できます。またコロナ禍の経験から、買い物や荷物の受け取りを非対面で行いたいというニーズも高まりました。では、いざ設置となればどのような宅配ボックスを選んだらいいのでしょうか? 賃貸住宅向けの宅配ボックスは、主に①「デジタル式ロッカー型」②「ダイヤル式ロッカー型」③「個別置き型」の3種類があります。ご自分の物件の入居者層やコストパフォーマンスなどを考えて検討しましょう。
最新式で防犯性、利便性に優れるのはデジタル式のロッカー型宅配ボックス。扉の開閉、荷物の出し入れ、保管期間の記録も、コンピューターが自動で行うためセキュリティは万全です。また、ボックスが開かないなどトラブルが発生した場合もコールセンターなどに連絡して対処できます。
入居者は、部屋番号に紐付けされたICカードや暗証番号を使って荷物を受け取るので、盗難の心配がありません。後付けで設置する場合、本体で30万〜50万円の費用がかかるほか、専門業者によるコンクリート壁への固定工事として10万円程度が必要です。またエントランスなどの共有部に設置スペースを確保する必要があります。リースプランを提供している会社もあります。

一般的に普及しているのが、電気配線工事の必要がないため、設置費用やメンテナンス費用を抑えることができるダイヤル(またはプッシュボタン)式のロッカー型宅配ボックス。電気代もかからないため、ランニングコストもほぼありません。
宅配業者が荷物を預け入れるごとに暗証番号を決め、入居者のポストに不在票を入れます。入居者は暗証番号をセットし、宅配ボックスを開けます。1台で複数の入居者に対応するタイプもあります。
後付けの設置方法としては、電気系統の配線工事がないためセルフ設置も可能。本体費用として10万〜30万円。ただし、コンクリート壁にドリルで穴を開け、固定する必要があるため、設置工事を依頼する場合には約10万円の費用が必要です。共有部にある程度のスペースを確保する必要もあります。リースプランを提供している会社もあります。

玄関前など個別の部屋ごとに設置するタイプの宅配ボックスです。賃貸アパートの戸数分を購入して各部屋に配れば、低コストで導入が可能です。
宅配業者が荷物を入れたあと南京錠などで施錠します。入居者は鍵で宅配ボックスを開けて荷物を受け取ります。南京錠や固定ワイヤーで、盗難を防ぐ工夫がされている商品、ドアノブに下げるバッグタイプのもの、折りたたみができるボックスなど多彩に展開。設置や使い方が手軽な反面、入居者の鍵の紛失、ボックスそのものの盗難というリスクがあります。
各戸の玄関前などに置き、付属のワイヤーなどでドアノブとつなげるだけで、後付けの設置工事は不要です。費用は導入するボックスの個数によりますが、5,000円〜5万円前後。広い設置スペースも不要なため、共用部分が狭いアパートでも設置できるというメリットがあります。各ボックスは耐久性に優れたハードタイプなら、3万〜5万円前後。コンパクトなソフトタイプなら、5,000円〜1万円前後で購入できます。

宅配ボックスは入居者のライフスタイルにより使用頻度が異なるため、世帯数すべての個数を設置する必要はありません。一般的にはアパートの総戸数に対して30%〜40%程度の設置が目安とされています。しかし、ネットショッピングの利用が急激に増えていることもあり、共働きの世帯が多く住む場合は50%、つまり、総戸数6戸の場合は2〜3個、8戸の場合は3〜4個、12戸の場合は4〜5個が目安となっています。
また、留守や不在が多い入居者が長期間荷物を入れたまま放置してしまい、他の住居人が宅配ボックスを利用できないケースも出てきます。宅配ボックスの利用規約を作成し、運用ルールを周知徹底させることも重要です。
宅配ボックスの有効性について見てきましたが、費用や条件面で宅配ボックスの設置が難しいというオーナーもたくさんいると思います。設置を見送る場合は、サービスが進む「置き配」で起こりうるトラブルを想定して、オーナーに責任が及ばないようにトラブル防止策を講じておくことが必要です。
「置き配」を利用することで起こる主なトラブルとして、荷物の盗難、破損等がありますが、私物を外に置いているので、このような場合は入居者の責任になります。しかし、共有部に置かれた配達物に子どもが足を引っかけて怪我をした場合はどうでしょうか? 賃貸物件の共有部に私物を置くことは禁止されているため、この場合も配達物の所有者の責任になります。しかし、「置き配」を黙認していた場合、オーナーも管理責任を問われる場合もあるため注意が必要です。
トラブルを完全になくすためには「置き配」を禁止することが得策です。しかし、いくらトラブルを防ぐためとはいえ、時代の流れに反することにもなりますし、空室が埋まりにくくなるかもしれません。また、禁止をする場合は入居者に対してトラブルやリスクについて説明する必要も出てきます。
「置き配」によるトラブルは入居者の責任がほとんどですが、物件内のトラブルはオーナーが責任を問われることもゼロではありません。対策をせずに黙認する場合も、トラブル防止策についてしっかりと調べておく必要はあるでしょう。
宅配ボックスの設置をはじめ、設備の導入や改修は大きな投資判断を伴います。時代の流れや入居者のニーズ、物件の状況を見極め、計画的に実施していきたいものです。

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