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本当に痩せる?
「痩せる薬」の種類と効果

近年、マンジャロやアライなど、体重減少が期待できる薬が注目されています。しかし、薬によって作用の仕組みや使用できる人の条件が異なり、副作用や健康へのリスクもあるため、正しい知識を身につけることが大切です。
この記事では、「痩せる薬」の種類や特徴、体重が減少する仕組みについて詳しく解説します。

2026年10月30日

「痩せる薬」とは?

「痩せる薬」とは、食欲を抑えたり、食事に含まれる脂肪の吸収を抑制したりすることで、体重減少を促す医薬品の総称です。近年は、マンジャロやウゴービなどの注射薬に加え、ドラッグストアで購入できるアライも登場し、注目を集めています。
ただし、これらの薬は作用の仕組みや使用できる人の条件が異なります。例えば、マンジャロは2型糖尿病の治療薬として承認されており、国内では肥満症の治療薬として承認されていません。さらに、肥満症治療薬は一定の条件を満たせば保険が適用されますが、美容目的での使用は原則として適用外です。また、肥満症治療への使用が認められていない医薬品を用いることは推奨されません。


また、薬を使用すれば誰でも痩せるわけではなく、副作用が生じる可能性もあります。安全に使用するためには、薬によって作用の仕組みや使用方法、購入できる場所が異なるため、それぞれの薬の特徴や注意点を理解することが大切です。

ウゴービとオゼンピックはGLP-1受容体作動薬で、マンジャロやゼップバウンドはGLP-1とGIPという2つのホルモンの受容体に作用します。いずれも注射で投与するもので、食欲を抑える働きがあり、食事量の減少につながることがあります。
ただし、国内で承認されている使用目的は異なり、ウゴービとゼップバウンドは一定の条件を満たす肥満症の治療薬ですが、マンジャロとオゼンピックは2型糖尿病の治療薬です。
また、リベルサスもGLP-1受容体作動薬の一種で、こちらは飲み薬として使用します。国内では2型糖尿病の治療薬として承認されており、肥満症への使用は承認されていません。

脂肪の吸収を抑える「アライ」

アライは、食事に含まれる脂肪の一部を体内に吸収させず、便とともに排出することで、内臓脂肪や腹囲の減少を促す医薬品です。
有効成分のオルリスタットには、脂肪を分解する消化酵素の働きを抑える作用があります。GLP-1関連薬とは異なり、食欲を直接抑える薬ではありません。
アライは、薬剤師のいる薬局やドラッグストアで購入できる要指導医薬品です。ただし、18歳以上で腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上など、使用には一定の条件があります。
また、購入時には薬剤師による確認が必要です。服用中は脂肪便や油の漏れなどが起こることもあるため、食生活の改善とあわせて正しく使用することが大切です。

なぜ、体重が減るのか?

「痩せる薬」で体重減少が期待できるのは、食欲を抑えたり、食事に含まれる脂肪の吸収を減らしたりする作用があるためです。
例えば、マンジャロやウゴービは脳の食欲に関わる部分に働きかけ、空腹感を抑えることで食事量の減少を促します。一方、アライは食事に含まれる脂肪の一部を吸収させず、便とともに排出する薬です。
このように、薬によって作用の仕組みは異なりますが、十分な効果を得るには食事や運動などの生活習慣の改善も欠かせません。

「痩せる薬」で誰でも痩せる?

「痩せる薬」を使用しても、誰もが必ず体重を減らせるわけではありません。薬の効果には個人差があり、体質や生活習慣、使用する薬の種類などによって体重の減り方が異なるためです。
一例として、肥満症に適応を持つウゴービを用いた試験では、以下のような結果が出ています。

※高血圧、脂質異常症または2型糖尿病があり、かつBMIが27.0kg/㎡以上で高血圧、脂質異常症もしくは2型糖尿病も含めて2つ以上の肥満に関連する健康障害注を持つまたはBMIが35.0kg/㎡以上の肥満症患者401例が対象

一方、マンジャロはそもそも痩せるために開発された医薬品ではありません。薬を使用している間も食べ過ぎや運動不足が続くと、十分な効果が得られない可能性があります。さらに、薬の使用を中止した後に体重が戻るケースもあるため、注意が必要です。
「痩せる薬」だけに頼るのではなく、食生活の見直しや適度な運動を取り入れ、無理のない体重管理を続けることが大切です。

「痩せる薬」の副作用とリスク

「痩せる薬」は体重減少が期待できる一方で、副作用や健康へのリスクにも注意が必要です。薬によって起こりやすい副作用が異なり、体質や持病によっては使用できない場合もあります。
マンジャロやウゴービなどのGLP-1関連薬では、吐き気や嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が起こることがあります。また、頻度は低いものの、急性膵炎などの重い副作用にも注意が必要です。
一方、アライでは脂肪の吸収を抑える作用により、脂肪便や下痢、便から油が漏れるなどの症状が現れる場合があります。
副作用が疑われる症状が出た場合は、無理に使用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。

自己判断や個人輸入は危険!

医師や薬剤師に相談せずに「痩せる薬」を自己判断で使用したり、個人輸入したりすることは非常に危険です。
特に、海外の通販サイトなどで販売されている医薬品には、偽造品や品質が確認できない製品が含まれている可能性があります。また、国内で承認されていない医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。
さらに、医師の診察を受けずに使用すると、持病や併用薬との相性を確認できず、健康被害につながるおそれがあります。
繰り返しになりますが、「痩せる薬」を安全に使用するには、医師や薬剤師に相談することが重要です。使用を開始してからも、体調や体重の変化に注意し、副作用が疑われる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

岡本 妃香里 (おかもと ひかり)氏

薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験後、ライター活動を開始。現在は医療・美容ライターとして、医薬品や化粧品、健康食品、美容医療などをはじめ、記事執筆を通じて健康と美に関する正しい情報を発信中。