保安だより
LPガスの安定供給と保安確保を図るうえで、供給設備の適切な維持管理は極めて重要です。
とりわけ、調整器、高圧ホース等の容器まわりの設備については、法定点検時や容器交換時等点検の中で異常の兆候が発覚する場合があります。
期限内交換および老朽設備改善の徹底をあらためて図る必要があります。
2026年9月15日
LPガス事故全体では、2021~2025年の5年間で、事故件数が年平均236.2件となり、2016~2020年の年平均189.6件を上回っています。
その中で、LPガス販売事業者起因の事故は、2021~2025年の5年間で年平均51.4件発生しており、引き続き注意が必要です。
主な原因としては、設備の腐食・劣化、工事や作業時のミス、容器交換時の接続ミスなどが挙げられます。

実際の現場では、調整器に腐食や著しい変色が見られた、高圧ホースにひび割れや硬化が生じていた、容器交換時の確認により、接続部周辺の異常に気づいた、容器設置状況の不備を把握した、といったヒヤリハットが発生しています。
これらの多くは、その場ですぐに重大事故に至るものではないものの、放置した場合にはガス漏えいその他の保安上の支障を招く要因となり得ます。
こうした事例に共通するのは、経年劣化の進行、設置環境による設備への負荷、ならびに通常点検時における確認不足です。供給設備は常時屋外環境にさらされることも多く、使用年数の経過とともに劣化リスクが高まることから、目視での異常の有無確認のみならず、期限管理に基づく確実な交換が不可欠です。

特に、調整器および高圧ホースについては、外観上大きな異常が認められない場合であっても、期限を超過した使用や長期使用の継続は避けなければなりません。期限内交換は、保安確保の基本であるとともに、ヒヤリハットを事故に発展させないための重要な未然防止策です。また、老朽化した供給設備については、部分的な補修やその場しのぎの対応にとどまることなく、設備全体の状況を踏まえた改善を進めることが重要です。
全体としては、法定点検時、容器交換時等のあらゆる機会を捉え、小さな異常や違和感を見逃さない意識を持つとともに、期限管理の徹底、交換漏れの防止、老朽設備の計画的改善に継続して取り組む必要があります。保安は日々の積み重ねによって支えられるものであり、供給設備に潜むリスクを早期に把握し、適切に対応することが事故防止と需要家の安心確保につながります。

× 容器と高圧ホースの接続部で高圧ホースの
Oリング劣化によるガス漏れ

× 高圧ホースと容器の接続部が正しく接続されていないことによるガス漏れ

× 容器交換時、容器バルブにキャップシールの破片を充てん口に残したまま高圧ホースを接続したことによるガス漏れ

× 容器設置用のコンクリートブロックが割れ、容器の重さでチェーンのフックが壁から抜けてしまった

× 自動切替式調整器および単段式調整器の老朽化による
ガス漏れ
× 自動切替式調整器の老朽化により、ダイヤフラム押さえ部からガス漏れ

× 調整器入口の弁ゴムに異物が挟まり、閉そく圧力不良を起こしたため、調整器の安全弁が作動した
× 調整器のOリングの劣化によるガス漏れ

× 自動切替式調整器に高圧ホースをねじ込みすぎたことで、ホース取付部にひび割れが生じ、ガスが漏えい
出典:経済産業省・高圧ガス保安協会『保安業務ガイド ヒヤリハット』